ゴルギーの雑想
The thoughts of Gorgy

ドル・コスト平均法の問題点

証券会社の投資信託を説明するホームページや投資信託のHow to本を読むと、価格変動のリスクを抑えるには、毎月定額を購入すれば、高いときには少しだけ買って高値のリスクを軽減し、安値のときには多く買えるので値上がり時に多くのリターンが期待できると書かれています。これをドル・コスト平均法といい価格変動のリスクを時間軸でヘッジする手法として知られています。

でも安値で買い足すって、株式投資でやっちゃいけないとされるナンピン買いじゃないの?と、証券会社が投資信託を売るための方便だとずっと思っていました。

ところが、先日YouTubeの「両学長 リベラルアーツ大学」という投資に関するチャンネルを見て、この仕組みに初めて納得しました。

ドル・コスト平均法成功の条件

ドル・コスト平均法が成功するには次の条件が必要です。

長期間とは20年とか、社会人になってから定年までといったスパンです。

例えばアメリカのS&P500という株価指数は短期的にはリーマンショックとかコロナショックとかの影響で暴落していますが、長期的にはその暴落を取り返して上昇し、この30年間で年平均8.9%値上がりしています(もちろん過去の実績を見ているだけで将来を保証するものではありませんが)。
つまり、下落相場の際に耐えて買い続けるとやがて値を戻し、過去最高値が訪れて取り返すことができる、安値のときに多く仕込めたのでリターンも大きくなるということです。ですから、何でもいいから毎月定額で買えばいいのではなく、必ず値上がりすると期待されるものをドル・コスト平均法で買わないといけないということです。

株式投資でナンピン買いをやってはいけないのは、その会社の株価が将来上がる確実性がないからです。個別銘柄が上がるか下がるかなんて丁半博打です。その点アメリカの指数連動型の投資信託は値上がりし続けているという実績の裏打ちがあります。1950~2017年で投資期間を15年に区切った場合、どの区切りでもマイナスになることはないそうです。15年以上の長期投資をすれば負ける可能性は限りなく引くくなるそうです。

ドル・コスト平均法は短期間で資産を増やす方法ではなく、長期間の資産形成を考えたときにリスクを軽減する方法といえます。

ドル・コスト平均法のシミュレーション

ではちょっとシミュレーションをしてみましょう。

開始時に1口100円だった投資信託に毎月10,000円投資し続けるとします。最初の月の購入口数はちょうど100口ですね。この銘柄が毎月1円ずつ値上がりすると、購入口数は値上がりとともに減っていきます(下表)。1年後には基準価額が111円になり購入口数は90口です。年間の累計は1,139口となり、1年後の評価額合計は1,139口×111円で126,391円になっています。元手は120,000円ですから5%強増えています。

ドル・コスト平均法 シミュレーション1

しかし相場は上下動を繰り返しますので、最終的に同じ111円になったとしても2か月目にいきなり90円に下落し、その後90-110円の範囲を行ったり来たりしていたとすると2つ目の表になります。
おっ!こちらの方が1年後の評価額合計が133,782円でさっきより高いですね。これは基準価額が安い月に多くの口数を購入できたからで、購入口数合計が多いことがわかります。

ドル・コスト平均法 シミュレーション2

ちなみに最初の月に元手120,000円をすべてつぎ込んでいた場合の表が3つ目です。値下がり時に多く買えるメリットをお分かりいただけると思います。

ドル・コスト平均法 シミュレーション3

これを知っていると、値下がりしても「多く買えた」とマインドチェンジすることができ、心の安らぎを得ることができます。
もちろんこれは単なるシミュレーションで現実はもっと複雑ですし、そもそも将来値上がりしなければダメですけどね。

アメリカの株価指数連動の投信だけ?

個別銘柄はダメでも、アメリカじゃなくても日本のTOPIX連動型の投資信託でもいいのではと思いますよね。アメリカ市場には為替リスクがありますし。。。

過去35年の実績では、NYダウは20倍、S&P500は17倍になっているのに対して日経平均はわずか2倍にしかなっていません。そもそも日本はいまだにバルブ期の株価を取り戻していません。

アメリカと日本には大きな違いがあるのです。日本ではGAFAのような新たなビジネスを展開するグローバルな巨大企業が生まれてこないということもひとつですが、それよりもアメリカは現在も若年人口が増えているので市場の将来性があるのです。まだまだ購買力があり続けます。その点残念ながら日本の衰退は見えてますし、長期で考えたときに日本には投資しにくいと言えます。そういった意味からは、将来長期的に考えた場合に円高が進行するという為替リスクは少ないような気がします(知らんけど)。

結論として

ということでリベラルアーツ大学の学長の受け売りになりますが、米国指数のインデックスファンドへ毎月投資し続けるのがいいのかなーと現在は考えています。
学長が好きな高配当株の配当狙いというのは資産形成後の話で、資産のない私には向いていない投資法だと思いますが。。。